予備試験を目指すヘボ受験生が書いたヘボい答案を晒すブログ

2019年12月から本格的に司法試験・予備試験の勉強を始めた私が書いたヘボ答案を晒すブログです。

『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第17問の私の答案 

【問題文をざっくり言えば】

 

 事後強盗に関する問題でした。

窃盗→事後強盗→被害者の死亡という経過を辿っていくのが、なかなか大変でした。

パズルみたいで楽しい面もありましたが。

 

なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。

 

shitpapers-of-law.hatenablog.com

 

 

【答案作成状況】

・時間制限

81分。まだまだです。ただ体感では最初の頃より早くなった、ような?笑

・基本書・判例集の参照

事前に事後強盗に関する該当部分を『刑法(第3版』『判例ラクティス』でしっかり読みました。

・解答例を事前に見たか

今回は読みませんでした。

 

 

【私の答案】

第1、甲がナイフを懐に忍ばせていた行為につき、強盗予備罪(237条)は成立するか。

1、甲は窃盗を目的としており、万が一、逃走時にAに遭遇した場合にナイフでAを脅す目的で上記ナイフを用意した。かかる事後強盗(238条)の目的も「強盗の罪を犯す目的」に含むか。

ア)238条が事後強盗行為を強盗行為(236条)「として論じる」としたのは、構成要件上の犯罪類型として近似しているのみならず、現象的にも極めて類似し、その危険度も変わることがないからである。よって、その準備行為を禁じる予備罪の適用可能性にも差はなく、事後強盗の目的も「強盗の罪を犯す目的」に含むと考える。

イ)よって、甲による事後強盗の目的も「強盗の罪を犯す目的」にあたる。

2、そして、上記行為は事後強盗の準備行為と言えるので「予備をした」と言える。

3、また、確かに甲はその後、実際にAと遭遇した際には、上記ナイフの所持を失念し使用してないものの、構成要件該当性は原則的に行為時を基準に判断すべきだから、かかる事情は本罪の成立を妨げない。

4、よって、上記行為に本罪は成立する。

第2、甲のA宅への立ち入り行為には、住居侵入罪(130条)が成立する。

第3、甲がA宅の箪笥を開けた行為につき、窃盗未遂罪(235条、243条)が成立するか。

1、上記行為は甲によるAの金員盗取という結果の現実的危険を惹起する行為であり、甲は「実行に着手」(43条)したと言える。

2、そして、結果は発生しておらず、故意も認められるので、上記行為に本罪が成立する。

第4、甲がBの顔面を殴打した行為につき、事後強盗罪(238条)が成立するか。

1、「窃盗」は窃盗未遂犯を含むと考えられるところ、既に論じた通り、窃盗未遂犯である甲は「窃盗」にあたる。

2、では、上記行為は「暴行」にあたるか。

⑴本罪の「暴行又は脅迫」の対象は、窃取行為の被害者に限られず「窃盗」を追跡・追及しうる第三者を含むと考えられるところ、BはA宅を物色する甲に「何をやっているの」などと怒鳴りながら近づいており、甲を追跡・追及しうる立場にある第三者である。

⑵また、甲のなした行為は、体力のある25歳の男性が、それに比して体力の相当に劣るであろう60歳の女性に対して、顔面を複数回にわたり殴打するというものであり、社会通念に照らして十分に被行為者の反抗を抑圧する行為であったと言える。

⑶よって、上記行為は「暴行」にあたり、本罪の実行行為性は認められる。

3、もっとも、甲は既に論じた通り、窃盗は未遂に終わっている。かかる場合に本罪の結果が発生したと言えるか。本罪の既遂時期が問題となる。

ア)そもそも強盗罪(236条)が盗取罪であるところ、その既遂時期は保護法益である財物の占有が被害者より移転した時点と考えるべきである。そして、本罪は事後強盗を「強盗として論じる」(238条)と規定しており、また実質的にも既遂時期に差を作る理由がないから、本罪の既遂時期は先行する窃盗行為の既遂時期と同一であると考えるべきである。

イ)よって、先行する窃盗行為が未遂に終わった甲の上記行為は、本罪の未遂罪の客観的構成要件を充足するにとどまる。

4、そして、Bに見つかった甲は、「ここで捕まったら元も子もない」、「Bから逃げよう」などと考えており、「逮捕を免れ」るために上記行為に及んだと言え、本罪の主観的構成要件も充たす。

5、よって、上記行為には本罪(238条)の未遂罪(243条)が成立する。

第5、甲がBをナイフで突き刺し死亡させた行為につき、事後強盗罪(238条)、そしてそれに基づく強盗殺人罪(240条)が成立するか。

1、上記行為に事後強盗罪が成立するか。

⑴もっとも甲は、窃盗未遂行為をなして自宅へ戻るという経過を経た後、窃盗現場に戻った際に上記行為をなしており、第4で論じた行為に比べ、第3で論じた窃盗行為との関連性が薄いようにも思える。

かかる場合にも事後強盗罪は成立するか。

ア)本罪における暴行・脅迫行為は、盗取への手段である必要はなく、窃盗の機会になされれば足りると考える。そして、行為が窃盗の機会になされたか否かの判断は、行為者が容易に逮捕されうるなど被害者側による行為者への追及可能性のある状況が窃盗直後より継続していたか否かで判断すべきである。

イ)甲が上記行為をなしたA宅は、先行する甲の窃盗未遂行為をなした場所であるから、その場所的近接性は強い。また先行した窃盗未遂行為をなしたのが同日午後2時40分、そして甲がBに発見されたのが同日午後2時45分であることに対し、上記行為が同日午後3時頃になされたことからすると、その間に15分から20分程度しか経ってなく、その時間的近接性も強い。これらの事情を考えると、確かに被害者側であるBからの甲への追及可能性は高いようにも思える。

しかしながら、Bは100mほど甲を追走した時点で、自身で甲を捕まえることを諦めているし、また甲の追走を継続すべく近隣住民や警察などの他者に連絡したという事情もない。また、甲とBは面識がなく、Bが即座に甲を窃盗未遂犯として特定できる状況にはない。そして、なによりも窃盗現場から200mという現場近隣と言っていい近距離とはいえ、甲は自宅という安全圏に戻っている。

かかる事情を鑑みるに、甲が自宅に戻った時点で、Bから甲に対する追及可能性のある状況は終息していたと言え、窃盗直後より継続していたとは言えない。よって、甲の上記行為は窃盗の機会になされたものとは言えない。

⑵よって、甲の上記行為には事後強盗罪は成立しない。よって、強盗殺人罪(240条)も成立しない。

2、もっとも、甲が殺意をもってなした上記行為には殺人罪(199条)が成立する。

第6、罪数

1、以上の検討により、甲には①強盗予備罪、②住居侵入罪、③窃盗未遂罪、④Bへの殴打行為につき事後強盗未遂罪、⑤Bを刺殺した行為につき殺人罪が成立する。

2、④は、③の結果的加重犯であるから③を吸収し、②は③と手段目的の関係にあるので牽連犯(54条1項後段)として④が吸収する。そして①も、④と密接な関係を有するので吸収される。

よって、④と⑤の併合罪(45条)となり、甲はその罪責を負う。

以上

 

 

【感想】

①事後強盗(238条)の目的も「強盗の罪を犯す目的」に含むか

こちらは多分大きい論点ではないので、ここまで展開しなくてよかった気がします。

ただ、【最高裁昭和54年11月19日】という、この部分が問題となった判例がありましたので丁寧めに書きました。

 

②事後強盗罪(238条)の「暴行又は脅迫」

本罪の実行行為の対象者に被害者以外を含みうることを自分で明確化しときたかったのと、反抗を抑圧する程度華道家のあてはめを丁寧にやりたかった感じです。

 

③事後強盗罪(238条)の主観的構成要件

なのですかね、これは。笑

ううん、と思いつつ書いちゃいました。笑

 

④窃盗の機会

第4ではあまりこの点が問題にならないと判断し、第5で展開しました。

この辺のバランスはどうなんでしょうか。

 

⑤罪数

やっぱよくわからないんですよねー。。

こんなんでいいのかな?

 

ちょっとバタバタで感想はあっさりめですが、悩んだ部分の深掘りはしたいので、適宜追記していきます。

 

以上です。

 

 

 

 

 

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