予備試験を目指すヘボ受験生が書いたヘボい答案を晒すブログ

2019年12月から本格的に司法試験・予備試験の勉強を始めた私が書いたヘボ答案を晒すブログです。

『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第16問の私の答案 

【問題文をざっくり言えば】

 強盗の故意で強盗に及んだものの、相手はビビらずに、しかし金員を交付した事例です。

 

なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。

 

 

shitpapers-of-law.hatenablog.com

 

 

 

【答案作成状況】

・時間制限

56分。今回はいつもより早かったです。

・基本書・判例集の参照

先に事例を見て、問題になりそうな部分を山口厚先生の『刑法(第3版)』、『判例ラクティス』で参考にしました。

・解答例を事前に見たか

見ませんでした。

 

【私の答案】

第1、甲がAを脅し、角材を振り回した後、Aが置いた現金2万円を懐に入れた行為につき、強盗罪(236条1項)が成立しないか。

1、甲の上記行為に本罪の実行行為性は認められるか。

⑴しかし、本件被害者のAの主観では、甲の行為に脅威を感じて反抗しなかったわけではない。かかる場合にも本罪の「暴行」性は認められるか。

ア)本罪にいう「暴行」は被害者の反抗を抑圧するに足りる行為をいう。そして、その判断は被害者の主観ではなく、社会通念に照らして、当該行為が反抗を抑圧すると言えるかを客観的に判断すべきである。

イ)甲はたしかにAより小柄な46歳であり、柔道という格闘技術を有し、かつ26歳という体力もあろうAとの体格、頑強さと比べるに、上記行為でAの反抗を抑圧してないようにも思える。しかし、上記行為は深夜の人通りの少ない通りで行われており、Aをして誰かに助けを求められる状況にはなかった。その状況下で、甲は40cmの角材という、小柄な人間が扱っても当たりどころが悪ければ重傷を負わせかねない武器を、人体枢要部であるAの頭部めがけて複数回振り回している。かかる行為は社会通念に照らして、十分に反抗を抑圧しうる行であり、「暴行」にあたる。

⑵よって、上記行為に本罪の実行行為性は認められる。

2、では、上記行為はAの二万円を「強取」したと言えるか。

⑴「強取」の意義が問題となる。

ア)法が恐喝罪(249条)に比べ強盗罪の科刑が重いのは、暴行・脅迫行為をもって形成した被害者への反抗抑圧状態を利用して、財物を奪い取る行為様態の違法性をより重く評価したからである。よって、本罪の「強取」と言えるためには、行為が形成した被害者の反抗抑圧状態と財物奪取の結果の間に因果関係を要すると考える。

イ)甲の行為に対して、Aは自分より体格が小さく年齢も老いている甲に角材があれども負けるわけはないと考えておらず、少なくともAの主観においては反抗抑圧状態が形成されていない。そして、Aが甲に2万円を渡した理由もAをかわいそうに思ったからであり、反抗抑圧状態に起因するものではない。かかる経過を鑑みるに、甲の暴行行為が形成したAの反抗抑圧状態が甲が2万円を得た結果の原因になったと認めることはできない。

⑵よって、上記行為は「強取」にあたらない。

⑶よって、甲の上記行為の客観的構成要件該当性は強盗未遂罪(236条1項、243条)にとどまる。

3、そして、甲は人を脅し金員を奪い取ろうと考えているのであるから、本罪の故意は認められる。

4、よって、甲の上記行為には強盗未遂罪が成立する。

第2、また、甲の上記行為は、少なくとも甲の行為に畏怖を感じたAの瑕疵ある意思に基づき2万円を交付させたものであるから、恐喝罪(249条)が成立する。

第3、よって、甲の行為には強盗未遂罪と恐喝罪が成立し、両罪は一個の行為でなされたものであるから、観念的競合(54条1項前段)となり、甲はその罪責を負う。

以上

 

 

 

【感想】

今回はあっさり書けました。笑

しかし、悩みがなかったわけではなく。

 

①強盗罪の「暴行」の意義

やっぱ悩むのは恐喝行為と強盗罪にいう暴行・脅迫の程度の差ですよね。

前者は「被害者を畏怖させる」、後者は「被害者の反抗を抑圧する」。。。

畏怖は神様にも使うし。だから日本語としてのニュアンスでは解決しないんじゃないかと。これらの言葉を比べても多分言葉遊びなので。

この二つを睨みながらウンウン唸っても仕方ないと思いました。

そこで別の基準を考える必要性を感じました。

 

それはやはり、恐喝罪と強盗罪の性質の差に求めるべきだと思います。

つまり、前者は交付罪、後者は盗取罪という差です。

交付罪は(瑕疵はあるけど)被害者の意思で財物を交付させる罪、そして盗取罪は被害者の意思に関係なく財物を移転させる罪だと理解してます。

別の言い方をすると、被害者の意思を前提にしているのが前者であり、被害者の意思を前提としないのが後者ということもできると思いました。

それが判例の表現の差に現れているのではないかと思います。

 

つまるところ、(適切な言葉が見つからないので、あえて圧迫度と表現しますが)行為の持つ圧迫度が被害者の意思を少しでも残す程度の行為を判例は「被害者を畏怖させる行為」と表現をし、行為の持つ圧迫度が被害者の意思を全て奪う程度の行為を判例は「被害者の反抗を抑圧する」と表現しているのではないかと。

後者に関してはそれでもその判定を社会通念に従って客観的に判定するというのが少しややこしいところではありますが。

なので、私はこれから恐喝罪と強盗罪の区別を行為がどの程度まで被害者の意思を奪ったのかという観点からやって行こうかな、と思っているところです。

 

今は少し酒に酔ってるので、強取についてはまたタイミングのある時に追記します。笑

しかし財産犯は体型が大事ですねぇ。。

しばらくは山口厚先生の『刑法(第3版)』のP276の表を見ながら、事案を検討するようにしようと思います。

 

以上です。

 

 

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