予備試験を目指すヘボ受験生が書いたヘボい答案を晒すブログ

2019年12月から本格的に司法試験・予備試験の勉強を始めた私が書いたヘボ答案を晒すブログです。

『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第13問の私の答案 

【問題文をざっくり言えば】

 政治家の賄賂授受記事に関する名誉毀損罪の成否が問題となる事例。

今回は記事を書いた記者本人ではなく、その記者に事実を摘示したまた別の記者の行為についてなので、伝播性の話が問題になると思いました。

 

なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。

 

 

shitpapers-of-law.hatenablog.com

 

 

【答案作成状況】

・時間制限

無制限ですが測ると69分でした。論点・事情の多寡からすると、予備試験レベルはまだまだ先と言わざるを得ませんが、今焦っても仕方ないです。

今できることは知識の定着とその理解を答案に示す表現力を鍛えることだと思います。

とは言え、基本的な規範・論証について、答案を書きながらどう書こうか悩むって段階は早く脱しないといけません。

 

・基本書・判例集の参照

事例だけを読んで恒例の山口厚先生『刑法(第3版)』の該当部分を読みました。

個人的には肌に合う印象ですので、司法試験まで基本書はこれ1冊で乗り切りたいと思っているところ。(私から見ると)理由づけが時々欠けるので、そこを補いたいですね。

 

・解答例を事前に見たか

今回は、230条と230条の2の関係性をどう表現するか悩んだので、それらを第1、第2と振り分ける答案構成を参考にしました。

 

【私の答案】

第1、甲が同僚の新聞記者XにBの賄賂収受に関わる情報を伝えた行為は名誉毀損罪(230条1項)の構成要件に該当しないか。

1、「公然」性

⑴甲は上記情報をXにしか伝えていない。かかる場合も「公然」性は認められるか。

ア)「公然」とは、摘示された事実を不特定または多数の人が認識しうる状態をいう。もっとも、被害者に関わる事実を知らされた者が特定の少人数であった場合でも、その者を介して事実が不特定多数の者に伝播すると認められる場合は、かかる「公然」性は認められる。

イ)甲が上記情報を伝えた相手は確かにXという特定の一人ではあるものの、Xは政治汚職を記事として公表しうる政治部記者であり、事実、記事を掲載公表している。よって、その伝播性は認められるから「公然」性は認められる。

2、では、甲の行為は「事実を摘示し、人の名誉を毀損した」したといえるか。

ア)本罪の保護法益である「名誉」が外部的な社会的名誉と考えられるところ、「事実」とはかかる社会的評価を低下させる事実を言う。

イ)甲がXに示した事実は、国土交通大臣Bが大手建築会社幹部Cから多額の賄賂を受け取っているというものであり、政治家のBの社会的評価を著しく低下させるものであるから、「事実を摘示し、人の名誉を毀損した」といえる。

3、そして、本罪の故意も欠けるところはないので、甲の行為に構成要件該当性は認められる。

第2、しかし、甲の示した事実は「公務員」(230条の2の3項)である国土交通大臣Bに係る事実である。そこで同条が適用され、罪が阻却されないか。

⑴しかし、甲は示した情報は単に甲が真実と誤信していたのみで、実際にはBC間に賄賂収受の事実はなかった。

ア)同条がその適用要件として「真実であることの証明」を求めているところ、かかる錯誤があった場合に罪は阻却されるか問題となる。

イ)230条の2の趣旨は、名誉毀損罪の保護法益である人の名誉と憲法21条が保障する表現の自由の調和にある。よって、その法的性格は、名誉毀損罪の構成要件に該当する行為が憲法の保障する表現の自由に基づき正当といえる場合に、当該行為の違法性を阻却するものと考える。その点で、「真実であることの証明」がない誤った事実は表現の自由に資さないのであるから、その違法性は阻却され得ない。もっとも、行為者が違法性阻却事由があると誤信していた場合は、反対動機の形成ができないのであるから故意責任は問い得ない。そこで、確実な資料、根拠に照らし行為者が当該事実を真実と考えるに足る相当な理由がある場合は、当該行為の有責性が阻却され、名誉毀損罪は成立しないと考える。

ウ)甲は賄賂収受の証拠をつかめず、BとCの幹部が月に一回の食事をしているとの情報を得たのみであるから、確実な資料、根拠に照らして賄賂の授受と言う事実が真実だと考える相当な理由があったとは到底言えない。

エ)よって、甲の行為の故意責任は阻却されない。

第3、よって、甲の行為につき本罪は成立し、甲はその罪責を負う。

以上

 

 

【感想】

各論ぽい論点を書いたのは3通目ですけど、やっぱり勉強量が物を言う範囲なんだろな、と思いました。

保護法益に照らした要件の意義・定義をしっかり押さえる、そしてその理解を示すに必要な要素を答案にバシッと示す。その反復が大事な気がしています。

また、各論で問題になる解釈論の争いは総論に比べて具体的なので、イメージをつきやすいような印象です。 そのせいか、判例の結論もなるほどーとスッと入ってきてます、今のとこは。今までは「そもそもなんの話してる?」からだったので。笑

 

 とは言いつつ、総論と各論はたぶん講学上の分類にすぎないと思うんで、あまり別ものと捉えすぎないで、総論で得た感覚をうまく各論の理解や答案作成に反映させていけたらなと思ってます。そうじゃないと覚えることが無限に増えそうな危惧が…。笑

 

さて。

名誉毀損罪の「公然」性

伝播性の理論を形式的に使えば、公然性が認められないことなんてほぼほぼないのでは?とおもいました。

そんで『判例ラクティス』を少し調べたら、【東京高裁昭和58年4月27日】と言う否定例を見つけました。

たぶん伝播性の理論を実質的に判断してるってことだと思うんですが、個人的にはちょっと結論だけが納得しずらいんですね。ただパターンを形式的に使うことを判例(そして司法試験も)是とするイメージはないので頭の隅っこにこの高裁判決の実質的な判断過程を残しておこうとは思ってます。問題文次第ですが。

 

②真実性の証明(230条の2)

ちょっと長いとは思うし、自分では納得できるけど理解がナイーブすぎるかなあ?とか思いつつ。

どうなんですかね。

 

以上です。

 

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