『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第17問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
事後強盗に関する問題でした。
窃盗→事後強盗→被害者の死亡という経過を辿っていくのが、なかなか大変でした。
パズルみたいで楽しい面もありましたが。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
shitpapers-of-law.hatenablog.com
【答案作成状況】
・時間制限
81分。まだまだです。ただ体感では最初の頃より早くなった、ような?笑
・基本書・判例集の参照
事前に事後強盗に関する該当部分を『刑法(第3版』『判例プラクティス』でしっかり読みました。
・解答例を事前に見たか
今回は読みませんでした。
【私の答案】
第1、甲がナイフを懐に忍ばせていた行為につき、強盗予備罪(237条)は成立するか。
1、甲は窃盗を目的としており、万が一、逃走時にAに遭遇した場合にナイフでAを脅す目的で上記ナイフを用意した。かかる事後強盗(238条)の目的も「強盗の罪を犯す目的」に含むか。
ア)238条が事後強盗行為を強盗行為(236条)「として論じる」としたのは、構成要件上の犯罪類型として近似しているのみならず、現象的にも極めて類似し、その危険度も変わることがないからである。よって、その準備行為を禁じる予備罪の適用可能性にも差はなく、事後強盗の目的も「強盗の罪を犯す目的」に含むと考える。
イ)よって、甲による事後強盗の目的も「強盗の罪を犯す目的」にあたる。
2、そして、上記行為は事後強盗の準備行為と言えるので「予備をした」と言える。
3、また、確かに甲はその後、実際にAと遭遇した際には、上記ナイフの所持を失念し使用してないものの、構成要件該当性は原則的に行為時を基準に判断すべきだから、かかる事情は本罪の成立を妨げない。
4、よって、上記行為に本罪は成立する。
第2、甲のA宅への立ち入り行為には、住居侵入罪(130条)が成立する。
第3、甲がA宅の箪笥を開けた行為につき、窃盗未遂罪(235条、243条)が成立するか。
1、上記行為は甲によるAの金員盗取という結果の現実的危険を惹起する行為であり、甲は「実行に着手」(43条)したと言える。
2、そして、結果は発生しておらず、故意も認められるので、上記行為に本罪が成立する。
第4、甲がBの顔面を殴打した行為につき、事後強盗罪(238条)が成立するか。
1、「窃盗」は窃盗未遂犯を含むと考えられるところ、既に論じた通り、窃盗未遂犯である甲は「窃盗」にあたる。
2、では、上記行為は「暴行」にあたるか。
⑴本罪の「暴行又は脅迫」の対象は、窃取行為の被害者に限られず「窃盗」を追跡・追及しうる第三者を含むと考えられるところ、BはA宅を物色する甲に「何をやっているの」などと怒鳴りながら近づいており、甲を追跡・追及しうる立場にある第三者である。
⑵また、甲のなした行為は、体力のある25歳の男性が、それに比して体力の相当に劣るであろう60歳の女性に対して、顔面を複数回にわたり殴打するというものであり、社会通念に照らして十分に被行為者の反抗を抑圧する行為であったと言える。
⑶よって、上記行為は「暴行」にあたり、本罪の実行行為性は認められる。
3、もっとも、甲は既に論じた通り、窃盗は未遂に終わっている。かかる場合に本罪の結果が発生したと言えるか。本罪の既遂時期が問題となる。
ア)そもそも強盗罪(236条)が盗取罪であるところ、その既遂時期は保護法益である財物の占有が被害者より移転した時点と考えるべきである。そして、本罪は事後強盗を「強盗として論じる」(238条)と規定しており、また実質的にも既遂時期に差を作る理由がないから、本罪の既遂時期は先行する窃盗行為の既遂時期と同一であると考えるべきである。
イ)よって、先行する窃盗行為が未遂に終わった甲の上記行為は、本罪の未遂罪の客観的構成要件を充足するにとどまる。
4、そして、Bに見つかった甲は、「ここで捕まったら元も子もない」、「Bから逃げよう」などと考えており、「逮捕を免れ」るために上記行為に及んだと言え、本罪の主観的構成要件も充たす。
5、よって、上記行為には本罪(238条)の未遂罪(243条)が成立する。
第5、甲がBをナイフで突き刺し死亡させた行為につき、事後強盗罪(238条)、そしてそれに基づく強盗殺人罪(240条)が成立するか。
1、上記行為に事後強盗罪が成立するか。
⑴もっとも甲は、窃盗未遂行為をなして自宅へ戻るという経過を経た後、窃盗現場に戻った際に上記行為をなしており、第4で論じた行為に比べ、第3で論じた窃盗行為との関連性が薄いようにも思える。
かかる場合にも事後強盗罪は成立するか。
ア)本罪における暴行・脅迫行為は、盗取への手段である必要はなく、窃盗の機会になされれば足りると考える。そして、行為が窃盗の機会になされたか否かの判断は、行為者が容易に逮捕されうるなど被害者側による行為者への追及可能性のある状況が窃盗直後より継続していたか否かで判断すべきである。
イ)甲が上記行為をなしたA宅は、先行する甲の窃盗未遂行為をなした場所であるから、その場所的近接性は強い。また先行した窃盗未遂行為をなしたのが同日午後2時40分、そして甲がBに発見されたのが同日午後2時45分であることに対し、上記行為が同日午後3時頃になされたことからすると、その間に15分から20分程度しか経ってなく、その時間的近接性も強い。これらの事情を考えると、確かに被害者側であるBからの甲への追及可能性は高いようにも思える。
しかしながら、Bは100mほど甲を追走した時点で、自身で甲を捕まえることを諦めているし、また甲の追走を継続すべく近隣住民や警察などの他者に連絡したという事情もない。また、甲とBは面識がなく、Bが即座に甲を窃盗未遂犯として特定できる状況にはない。そして、なによりも窃盗現場から200mという現場近隣と言っていい近距離とはいえ、甲は自宅という安全圏に戻っている。
かかる事情を鑑みるに、甲が自宅に戻った時点で、Bから甲に対する追及可能性のある状況は終息していたと言え、窃盗直後より継続していたとは言えない。よって、甲の上記行為は窃盗の機会になされたものとは言えない。
⑵よって、甲の上記行為には事後強盗罪は成立しない。よって、強盗殺人罪(240条)も成立しない。
2、もっとも、甲が殺意をもってなした上記行為には殺人罪(199条)が成立する。
第6、罪数
1、以上の検討により、甲には①強盗予備罪、②住居侵入罪、③窃盗未遂罪、④Bへの殴打行為につき事後強盗未遂罪、⑤Bを刺殺した行為につき殺人罪が成立する。
2、④は、③の結果的加重犯であるから③を吸収し、②は③と手段目的の関係にあるので牽連犯(54条1項後段)として④が吸収する。そして①も、④と密接な関係を有するので吸収される。
よって、④と⑤の併合罪(45条)となり、甲はその罪責を負う。
以上
【感想】
①事後強盗(238条)の目的も「強盗の罪を犯す目的」に含むか
こちらは多分大きい論点ではないので、ここまで展開しなくてよかった気がします。
ただ、【最高裁昭和54年11月19日】という、この部分が問題となった判例がありましたので丁寧めに書きました。
②事後強盗罪(238条)の「暴行又は脅迫」
本罪の実行行為の対象者に被害者以外を含みうることを自分で明確化しときたかったのと、反抗を抑圧する程度華道家のあてはめを丁寧にやりたかった感じです。
③事後強盗罪(238条)の主観的構成要件
なのですかね、これは。笑
ううん、と思いつつ書いちゃいました。笑
④窃盗の機会
第4ではあまりこの点が問題にならないと判断し、第5で展開しました。
この辺のバランスはどうなんでしょうか。
⑤罪数
やっぱよくわからないんですよねー。。
こんなんでいいのかな?
ちょっとバタバタで感想はあっさりめですが、悩んだ部分の深掘りはしたいので、適宜追記していきます。
以上です。
閲覧ありがとうございます。
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『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第16問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
強盗の故意で強盗に及んだものの、相手はビビらずに、しかし金員を交付した事例です。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
shitpapers-of-law.hatenablog.com
【答案作成状況】
・時間制限
56分。今回はいつもより早かったです。
・基本書・判例集の参照
先に事例を見て、問題になりそうな部分を山口厚先生の『刑法(第3版)』、『判例プラクティス』で参考にしました。
・解答例を事前に見たか
見ませんでした。
【私の答案】
第1、甲がAを脅し、角材を振り回した後、Aが置いた現金2万円を懐に入れた行為につき、強盗罪(236条1項)が成立しないか。
1、甲の上記行為に本罪の実行行為性は認められるか。
⑴しかし、本件被害者のAの主観では、甲の行為に脅威を感じて反抗しなかったわけではない。かかる場合にも本罪の「暴行」性は認められるか。
ア)本罪にいう「暴行」は被害者の反抗を抑圧するに足りる行為をいう。そして、その判断は被害者の主観ではなく、社会通念に照らして、当該行為が反抗を抑圧すると言えるかを客観的に判断すべきである。
イ)甲はたしかにAより小柄な46歳であり、柔道という格闘技術を有し、かつ26歳という体力もあろうAとの体格、頑強さと比べるに、上記行為でAの反抗を抑圧してないようにも思える。しかし、上記行為は深夜の人通りの少ない通りで行われており、Aをして誰かに助けを求められる状況にはなかった。その状況下で、甲は40cmの角材という、小柄な人間が扱っても当たりどころが悪ければ重傷を負わせかねない武器を、人体枢要部であるAの頭部めがけて複数回振り回している。かかる行為は社会通念に照らして、十分に反抗を抑圧しうる行であり、「暴行」にあたる。
⑵よって、上記行為に本罪の実行行為性は認められる。
2、では、上記行為はAの二万円を「強取」したと言えるか。
⑴「強取」の意義が問題となる。
ア)法が恐喝罪(249条)に比べ強盗罪の科刑が重いのは、暴行・脅迫行為をもって形成した被害者への反抗抑圧状態を利用して、財物を奪い取る行為様態の違法性をより重く評価したからである。よって、本罪の「強取」と言えるためには、行為が形成した被害者の反抗抑圧状態と財物奪取の結果の間に因果関係を要すると考える。
イ)甲の行為に対して、Aは自分より体格が小さく年齢も老いている甲に角材があれども負けるわけはないと考えておらず、少なくともAの主観においては反抗抑圧状態が形成されていない。そして、Aが甲に2万円を渡した理由もAをかわいそうに思ったからであり、反抗抑圧状態に起因するものではない。かかる経過を鑑みるに、甲の暴行行為が形成したAの反抗抑圧状態が甲が2万円を得た結果の原因になったと認めることはできない。
⑵よって、上記行為は「強取」にあたらない。
⑶よって、甲の上記行為の客観的構成要件該当性は強盗未遂罪(236条1項、243条)にとどまる。
3、そして、甲は人を脅し金員を奪い取ろうと考えているのであるから、本罪の故意は認められる。
4、よって、甲の上記行為には強盗未遂罪が成立する。
第2、また、甲の上記行為は、少なくとも甲の行為に畏怖を感じたAの瑕疵ある意思に基づき2万円を交付させたものであるから、恐喝罪(249条)が成立する。
第3、よって、甲の行為には強盗未遂罪と恐喝罪が成立し、両罪は一個の行為でなされたものであるから、観念的競合(54条1項前段)となり、甲はその罪責を負う。
以上
【感想】
今回はあっさり書けました。笑
しかし、悩みがなかったわけではなく。
①強盗罪の「暴行」の意義
やっぱ悩むのは恐喝行為と強盗罪にいう暴行・脅迫の程度の差ですよね。
前者は「被害者を畏怖させる」、後者は「被害者の反抗を抑圧する」。。。
畏怖は神様にも使うし。だから日本語としてのニュアンスでは解決しないんじゃないかと。これらの言葉を比べても多分言葉遊びなので。
この二つを睨みながらウンウン唸っても仕方ないと思いました。
そこで別の基準を考える必要性を感じました。
それはやはり、恐喝罪と強盗罪の性質の差に求めるべきだと思います。
つまり、前者は交付罪、後者は盗取罪という差です。
交付罪は(瑕疵はあるけど)被害者の意思で財物を交付させる罪、そして盗取罪は被害者の意思に関係なく財物を移転させる罪だと理解してます。
別の言い方をすると、被害者の意思を前提にしているのが前者であり、被害者の意思を前提としないのが後者ということもできると思いました。
それが判例の表現の差に現れているのではないかと思います。
つまるところ、(適切な言葉が見つからないので、あえて圧迫度と表現しますが)行為の持つ圧迫度が被害者の意思を少しでも残す程度の行為を判例は「被害者を畏怖させる行為」と表現をし、行為の持つ圧迫度が被害者の意思を全て奪う程度の行為を判例は「被害者の反抗を抑圧する」と表現しているのではないかと。
後者に関してはそれでもその判定を社会通念に従って客観的に判定するというのが少しややこしいところではありますが。
なので、私はこれから恐喝罪と強盗罪の区別を行為がどの程度まで被害者の意思を奪ったのかという観点からやって行こうかな、と思っているところです。
今は少し酒に酔ってるので、強取についてはまたタイミングのある時に追記します。笑
しかし財産犯は体型が大事ですねぇ。。
しばらくは山口厚先生の『刑法(第3版)』のP276の表を見ながら、事案を検討するようにしようと思います。
以上です。
閲覧ありがとうございます。
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『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第15問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
小問⑴はコンビニに行くために友達の自転車を勝手に使って返した事例、小問⑵は壊すつもりでプラモデルを持ち出し、その後気が変わって自宅に飾った事例です。
両方とも絶妙に微妙な問題で、不法領得の意思を中心に構成要件の住み分けを考える本当にいい問題でした。
特に個人的には⑵の方が難しかったです。。。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
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【答案作成状況】
・時間制限
なし。サクサク解こうかと思いましたが、めっちゃ悩んでしまい3時間近くはかかったと思います。
・基本書・判例集の参照
毎度お馴染み、山口厚先生の『刑法(第3版)』、『判例プラクティス』をゴリゴリ参照しました。
・解答例を事前に見たか
途中までは頑張ったんですが、小問⑵の器物損壊罪の検討あたりでギブアップ。占有離脱物横領罪の構成はカンニングの賜物です。
【私の答案】
第1、小問⑴について
1、甲がAの自転車を持ち出した行為につき、窃盗罪(235条)が成立するか。
⑴上記自転車は甲にとって、「他人」Aの「財物」にあたる。そして「窃取」は他人が占有する財物を、占有者の意思に反して、自己または第三者の占有に移転する行為を意味すると考える。甲はAに無断で上記自転車を持ち出しているのだから、占有者Aの意思に反して、自己にその占有を移転したと言える、
⑵そして、上記客観的構成要件に対する認識・認容に欠けるところはない。
⑶そうだとしても、権利者排除意思と利用処分意思を内容とする不法領得の意思が甲の上記行為に認められるか。
まず、本罪の成立に不法領得の意思を要すかが問題となるも、本罪と不可罰の使用窃盗の区別のために権利者排除意思が、本罪と毀棄罪の区別のために利用処分意思が、それぞれ必要であると考える。
ア)利用処分意思が、窃取した財物の経済的用法に沿って利用または処分する意思をいうところ、甲はAの自転車を、コンビニエンスストアに移動するという自転車の経済的用法に沿って、これを利用したと言える。よって、甲の行為に利用処分意思は認められる。
イ)では、権利者排除意思は認められるか。権利者排除意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の物のように扱う意思をいう。かかる意思の有無については、権利者による利用可能性の侵害の大小、当該行為に被害者が認める損害の大きさなど行為に関わる諸事情を考慮して判断すべきである。
ウ)甲が自転車を元の場所に戻すことができたのは上記持ち出し行為より4時間後であり、比較的長時間に渡りAの本件自転車の利用可能性を絶っている点を考えると、かかる意思は認められそうに思える。しかしながら、上記行為がなされたのはAによる自転車の利用可能性が低い深夜であり、また行為の対象も自動車などに比べて比較的損害の軽微な自転車であった。さらに甲は上記行為をなした際には、30分という短時間の借用を想定しており、かかる想定が覆ったのも偶然友人とコンビニエンスストアで出くわして長話をしてしまったという偶発的な事情が原因である。そして、結果として4時間という時間は経ったが、甲は乗り捨てや損耗などすることもなく、自転車を元の場所に返している。このような事情を考えるに、甲の行為に認められる権利者Aを排除する意思は少なくとも相当に軽微なものであり、窃盗罪による可罰を要するほど強い意思と認めることはできない。
エ)よって、甲の上記行為には不法領得の意思が認められない。
⑷よって、上記行為に構成要件該当性は認められず、本罪は不成立となるから、甲は罪責を負わない。
第2、小問⑵について
1、乙がなしたBのプラモデルを持ち出した行為について検討する。
2、上記行為につき、窃盗罪(235条)が成立するか。
⑴Bのプラモデルは乙にとって「他人の財物」にあたる。そして、前述の「窃取」の意義に照らし、Bに無断でプラモデルを持ち出す行為は「窃取」にあたる。
⑵そして、上記客観的構成要件に対する認識・認容に欠けるところはない。
⑶そうだとしても、乙の上記行為に不法領得の意思が認められるか。
ア)乙のなした行為は返却する意図もなく、権利者Bを排除するものであるから権利者排除意思は認められる。
イ)では、利用処分意思は認められるか。
乙は上記行為後、確かに窃取した本件プラモデルを自宅に飾っており、これはプラモデルの経済的効用に沿って利用しているとは言えるものの、少なくとも行為時点においてはBへの嫌がらせの意図でプラモデルを壊す意図を有しているのであるから、行為時における利用処分意思を認めることはできない。
ウ)よって、乙の上記行為に不法領得の意思は認められない。
エ)よって、乙の上記行為は本罪構成要件に該当せず、本罪は成立しない。
3、では、乙の行為に器物損壊罪(261条)が成立するか。
⑴乙の行為に本罪における実行行為性は認められるか。
「損壊」とは物の効用を害する一切の行為をいう。よって、甲がプラモデルを叩き壊す意図で持ち出した上記行為をなした時点で、プラモデルの効用を害する現実的危険は発生していたと言えるから、少なくとも「実行に着手」していたと言える。(43条本文)
⑵しかしながら、乙は上記行為後にプラモデルを気に入り自宅に飾っており、プラモデルは少なくとも有形的には毀損しておらず、物の効用を害するという結果が発生していないようにも思える。
ア)そこで、本罪の既遂時期が問題となる。
イ)前述の通り、「損壊」とは物の効用を害する一切の行為をいうところ、隠匿その他の方法によって対象物を利用できない状態におくことは「損壊」に含みうる。しかしながら、利用を妨げる行為全てが「損壊」に該当するとまでは言えない。よって、物の効用を害したかという観点に照らして、当該行為着手以降の経過が「損壊」と同様と評価できると言える時点をもって本罪既遂とすべきであると考える。
ウ)乙の上記行為は確かにBをしてプラモデルの行方が分からなくする隠匿行為と言えるものであり、Bによるプラモデル利用を妨げる行為と言える。しかしながら、物そのものの効用を害したかという観点に照らせば、その後、乙が飾っていることから考えてもプラモデルそのものの効用を減少ないし消滅させたとまでは言えず、「損壊」と同様と評価することはできない。したがって、本件乙の行為は既遂には至らなかったと考える。
⑶そして、本罪に未遂規定がない以上は、既遂に至らなかった乙の行為に本罪は成立せず、不可罰となる。
4、しかしながら、Bの占有を離脱し自己の占有に移転したBの所有物たる本件プラモデルを自宅に飾る乙の行為は、権利者Bを排除し自己の利用するものであり、不法領得の意思の発現行為と言える。よって、同行為に占有離脱物横領罪(254条)が成立し、乙はその罪責を負う。
以上
【感想】
小問⑵が重過ぎて、もはや⑴についてあまり覚えていませんが。。笑
今回は論点ごとではなく、小問ごとに感想をまとめます。
①小問⑴
工藤先生の解答例ですと、不法領得の意思の検討前に構成要件該当性を肯定しているように読めます。
私は(主観的)構成要件の一部だと理解していたのですが、どうなんでしょうか。
権利者排除意思の存否は「権利者による利用可能性の侵害の大小、当該行為に被害者が認める損害の大きさなど行為に関わる諸事情を考慮して判断すべき」とした記述は『判例プラクティス各論』の小林憲太郎先生の記述を参考にしました。
自転車に比べて自動車は権利者排除意思が肯定されやすく、それは利用可能性の価値の大きさが違うことに求められるという記述は興味深かったです。
カーシェアリングがもっと一般化すると、この辺の議論はどうなるのかな、と興味深く思いました。どう推移するかは見当もつきませんが。笑
ただ規範として書くのは工藤先生の規範がスッキリしているように思います。
これは小林先生がどうのではなく、ひとえに私に整理力不足に起因するのですが。
あてはめはまあそんな理解を前提にやってみましたが、どうなんでしょうか。。
答案を書いてく上で、成立させるかさせないか答案構成時点でかなり迷いました。
山口先生の本や判例プラクティスを読んだ中で、混乱してましたし。
どうしよう?と思った挙句、「もう結論から決めちゃおう」という荒っぽい考えに至りました。笑
この甲は罰するべきか罰しないべきかを自分の中の社会通念に聞いてみて、「刑法で罰するほどのことか?Aに甲を怒ってもらえば済む話なのでは」と思い、その結論までの過程を説得するつもりで書いた次第です。
この答案作成態度がいいものかは私にはわかりません。。
②小問⑵
さて、今回、ここでエグいぐらい悩みました。
工藤先生の解説には、
悩みを示しておくことで、評価を上げることはできます。
とありますし、友人の司法試験合格者からもそうだとは聞いてるんですが、私のは悩みすぎではないでしょうか。笑
かなり苦しい答案だな、と思いながら書きました。
工藤先生と予備試験合格者の答案例では窃盗の次に占有離脱物横領に行ってました。
これは器物損壊は検討しなくていいんでしょうか。
利用処分意思に毀棄罪と窃盗罪を区別する機能があるということなので、利用処分意思が否定されたのならとりあえず毀棄罪を検討する余地がありそうと割と素直に気軽に踏み込んだんですが。これが意外に富士の樹海でした。ちなみにまだ帰ってきてません。笑
乙さん、家に持って帰ってるんで、甲として物の効用を害されたと言えるんじゃないか、と思ったんですが。
不法領得の意思を定義づけた(らしい?)教育勅語事件(校長の失脚を狙って教育勅語を隠匿した教師の窃盗罪の成否が問われた)【大審院大正4年5月21日】では、利用処分意思がないってことで窃盗罪の成立は否定されたようなんですけど、これは器物損壊罪とかは成立したんでしょうか?
他人の養殖池から鯉を勝手に流出させた事例【大審院明治44年2月27日】では261条の「傷害」が、競売阻止の目的で競売事件記録を隠匿した事例【大審院昭和9年12月22日】では258条の「毀棄」が、それぞれ肯定されてるようで、これは物自体は何も損耗していない以上、権利者にとっての効用を害したという側面から毀棄行為該当性を肯定してるんですよね、きっと。たぶん。
となると、今回も「損壊」を肯定して良かったように思うのですが。。。
このあたりで確か工藤先生の解答例をカンニングして、占有離脱物横領罪の構成に気付き、これは書いとこうという半ば打算的な答案戦略ならぬ練習戦略もありました。笑
だけど、それとは別に強姦目的で誘拐した女性の携帯電話を取り上げた行為の「損壊」行為該当性が問題となった(その後、女性が逃走して被告人は携帯電話を川に捨てた)事例【大阪高裁平成13年3月14年】を見つけたのが大きい理由です。ここでは、(厳密な理由付けは私には読み取れなかったのですが)取り上げた時点での「損壊」既遂を否定しました。(川に捨てた時点で既遂と判断)
となると、私が書いた筋になると思いました。
ただ、この事例では携帯電話を取り上げて利用を妨げた時間は約3分と短い時間であり、この短い時間の利用妨害行為をもって「損壊」とするのは無理があると大阪高裁は考えたとも十分に読める気がします。そうだとすると、今回の家に持って帰ったという事例にはそのまま妥当しないんじゃないかというのが今の時点での私の感想です。
つまり、まとめると。
この裁判例の枠組みを援用したとしても、家にプラモデルを持って帰って、少なくとも飾ってる時点ではBによるプラモデルの効用を十分に害してると言え、「損壊」の既遂に達してたんじゃなかろうか?と思えるのですが、どうなんでしょう。
占有離脱物横領はただただ書きたかったです。。笑
こういう風に考えると、今回の事件は器物損壊罪も十分検討に値するように思えたのですが。。
工藤先生と予備試験合格者が揃って検討してないところを見ると不安ですね。。
どう考えても器物損壊が該当しない事実を見落としてのかな。
ちょっとわかりませんね。
(2019.12.14追記)
よく考えたら、乙の家に飾る行為自体で占有離脱物横領罪が成立するので、利用処分意思が毀棄罪と領得罪を区別する機能からしても、飾る行為には器物損壊罪は成立しないですね。
だとすると、家に飾るより以前の段階までしか器物損壊罪は成立しないということになるので、そこまでの過程でBにとってのプラモデルの効用がなくなったか減ったと言える事情がない限りは、そして持ち出し行為それ自体が「損壊」と評価できない以上は、器物損壊罪の成立余地はないのかも。
となると事情次第な感じはするし、この問題ではそのあたりの事情が詳らかにされてる訳ではないので、少なくともこの問題の解答にあたっては、器物損壊罪について書くとしても軽くということになるんだと思います。器物損壊に関する決定的な事情が問題文に書いてない以上は、出題者の意図に沿わないのだと思います。
それとも①持ち出し行為②持ち帰り行為③飾る行為の3つに分けて、②で器物損壊罪が成立するのもありなのかな?
ややこしいし屁理屈感が我ながらエグいですね。笑
どちらにしろ、問題文から読み取れる範囲での、出題者が書かせたい路線からは外れてそうですね。
(追記終わり)
というか、私の中の社会通念に聞くと窃盗罪を成立させたいな、と言ってました。笑
けど、行為時に壊す気でいたなら、やっぱり難しそうですよね。
まあ、これ以上深入りしても解決しないと思うので切り替えて先に進みます。
あ!Bの家に入った住居不法侵入は普通に落としてます。笑
反射的に出ないようにしないとな。。。
以上です。
このブログ記事へのご意見・ご感想は批判を含めて歓迎です、荒れて欲しくはないですけど。
またランキングにも参加しています。
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最後に、この記事が著作者の方の気分を害されたり、権利を侵害しまったとのことでしたら、以下の記事で表明した通り、真摯に対応させていただきます。
その場合は、お手数ですがご一報ください。
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『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第14問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
推定的同意がある場合の建造物侵入罪の成否、公務員に対する公務員執行妨害罪、威力業務妨害罪の成否を問われる事例でした。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
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【答案作成状況】
・時間制限
移動しながらとかで飛び飛びでのべ8時間くらい?実際の解答時間はわかりません。笑
・基本書・判例集の参照
毎度の山口厚先生『刑法(第3版)』を参照しました。
・解答例を事前に見たか
罪数処理が分からずカンニングしました。
【私の答案】
第1、甲がA大学の教室内に立ち入った行為につき、建造物侵入罪(130条)が成立しないか。
⑴甲が立ち入ったのはA大学の教室は同大学が「看守する」「建造物」にあたる。
⑵では、甲の上記立ち入り行為は「侵入」と言えるか。
ア)甲が立ち入った教室では事件当日、A大学主催の公開講義が催されていた。となれば、A大学をして一般人の立ち入りが予定されていたと言える。かかる推定同意がある場合にも立ち入り行為は「侵入」と言えるか。
イ)本罪の保護法益が建造物の管理権と考えられるところ、「侵入」とは管理権者の意思に反する立ち入りをいう。そうだとすれば、管理者の推定的同意があっても、管理者が立ち入り行為者の真意を知れば同意しなかったであろう場合には、当該立ち入り行為は管理者の意思に反するものであるから、「侵入」といえる。
ウ)A大学による推定的同意の対象は公開講義の聴講をする目的の人であったと言える。しかし、甲の上記立ち入り行為の目的はBが集団的自衛権行使に賛成することに抗議することにあった。かかる甲の真意を知れば、A大学は上記立ち入りに同意しなかったと言えるから、甲の立ち入り行為は管理者の意思に反するものであった。よって、甲は「侵入」したと言える。
⑶よって、甲の行為には本罪は成立する。
第2、甲が、教室に入ろうとするBに対して拡声器を用いてBの発言内容を糾弾する内容をまくし立てた行為について検討する。
1、上記行為につき、公務執行妨害罪(95条1項)が成立しないか。
⑴Bは国立大学Aの教授であり、本件での公開講義はその職務の一環であったと考えられる。本罪の保護法益が公務員によって執行される職務たる公務の円滑な執行であるところ、Bの上記業務は本罪が保護する公務にあたる。
そして、公開講義のためにBが教室に入ろうとするのは「職務の執行にあたり」にあたる。
⑵しかし、本罪の「暴行」は公務員の身体に対し、間接直接を問わない不法な有形力の行使をいうところ、甲の上記行為はこれにあたらない。
⑶よって、甲の行為は本罪の構成要件に該当しないので、本罪は不成立である。
2、では上記行為につき、威力業務妨害罪(234条)が成立しないか。
⑴「威力」とは人の自由意志を抑圧する行為と考えられるところ、甲の上記行為はAが教室に入る自由意志を抑圧しうるので、「威力」にあたる。
⑵しかし、Bによる講義の実施は前述のように公務(95条1項)にあたる。公務が公務執行妨害罪で保護されるところ、Bによる講義の実施は本罪における「業務」(234条)としても保護し得るか。
ア)本罪の趣旨は、社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業である「業務」を、意思を抑圧する妨害行為から保護し、もって個人の人格的自由の重要な一部である社会的活動の自由を守る点にある。となれば、公務であろうとも、この趣旨に照らしてその他の業務と変わることはないので、本罪で保護すべきである。しかし、強制力を行使する権力的な公務については、妨害行為を排除しうる実力があるのだから、本罪の保護の対象から排除しても上記本罪の趣旨に適う。よって、当該公務が本罪における「業務」にあたるかは強制力を行使する権力的公務であるか否かをもって決すべきである。
イ)まず、本件Bの公開講義の実施はA大学教授という社会生活上の地位に基づき行う事務または事業と言える。公開講義は通常の大学の授業とは違い、1回ないし数回の単発的な実施と思われるが、継続的になされる大学教授という職務の一環として実施されたのであるから、その継続性は認められ、なお本罪が保護すべき「業務」にあたり得る。そして、Bの実施する公開講義は妨害行為を排除する強制力を行使しない非権力的公務である。よって、「業務」にあたる。
⑶しかし、Bは定刻通りに講義を開始している。そうだとすると、本罪の法益たる業務の侵害という結果が発生しておらず、「妨害」の構成要件を充足しないようにも思える。そこで「妨害」は法益侵害の結果発生までを含むか。
ア)本罪には未遂罪の規定がないことを考えると、構成要件該当性の肯定に結果発生を常に求めれば、結果に至らなかった危険を有する行為を容認することになりかねず妥当ではない。よって、「妨害」該当性は、現に法益侵害が発生していることまでは要せず、法益侵害するに足りる行為があれば、肯定すべきと考える。
イ)よって、甲の上記行為の時点で本罪の構成要件該当性は認められる。
⑷よって、甲の上記行為には本罪が成立する。
第3、甲がCに奪われた拡声器を奪い返し、これを地面に叩きつけた行為について検討する。
1、甲の上記行為につき、公務執行妨害罪(95条1項)が成立しないか。
⑴警察官という公務員Cが甲を教室から連れ出すのは、「公務員が職務を執行するにあたり」と言える。
⑵そして、甲の上記行為は公務員Cの身体に対する不法な有形力の間接的な行使であるから、「暴行」にあたる。
⑶しかし、Cは上記行為に全く動じず、甲を教室から連行している。そうだとすると、本罪の法益たる公務の円滑な執行の侵害という結果が発生しておらず、構成要件を充足しないようにも思える。そこで、本罪の構成要件は結果の発生を含むか。
ア)威力業務妨害罪と同様に考察すれば、本罪の構成要件に該当するかは、現に法益侵害が発生していることまでは要せず、法益侵害するに足りる行為があれば、肯定すべきと考える。
イ)よって、甲の上記行為の時点で本罪は成立する。
2、なお、Cの教室からの連行は強制力を行使する権力的公務であるから「業務」にあたらず、威力業務妨害罪(234条)は成立しない。
第4、罪数
⑴上記のように甲には、①建造物侵入罪(130条)、②威力業務妨害罪(234条)、③公務執行妨害罪(95条1項)が成立する。
⑵①と②、①と③は手段と目的の関係にあり、①をいわゆるかすがいとして全体を科刑上一罪(54条1項)とし、甲はその罪責を負う。
以上
【感想】
多分各論ぽい問題なんでしょうね。
各構成要件の棲み分けを考えさせられました。
①「侵入」の意義
第12問でも出た話でした。
shitpapers-of-law.hatenablog.com
そこではちょっとやらかしてて、その反省から、『「侵入」とは管理権者の意思に反する立ち入りをいう』をバシッと書くのが第一目標でした。
出てきてよかった。笑
②公務(95条1項)と業務(234条)の関係
ここがなんか考え込んじゃいましたねー。
関係性は多分わかったと思います。公務は業務に含むけど、権力的公務は業務から排除するってことですよね。多分。
それ自体は割とすぐわかったんですが、それを論文のどこで書くのか迷いましたね。
多分、公務は業務に含むのか?って問題意識なんですね。だから、「業務」性のとこで書くのだと。「あれ?どっちで書くんだ?」と混乱しちゃいました。笑
さて、その両者の関係を整理する論述は丁寧めに書きました。
ここでやりたかったことを補足しときます。
公務と業務に重複がある(またはない)ということを示すとき、両者には共通点があるはずだと考えました。
個人的にはこの問題にあたるまで、立法趣旨≒保護法益と考えていました。で、そこは確かにそうなんでしょうけども。
ただ、今回気づいたのは、保護法益とは『その条文で守りたい法益』であり、立法趣旨とは『その法益を守ることで刑法は何がしたいのか』ということなんじゃないかと。つまり、比重が微妙に違うんじゃないかと。
で、保護法益レベルの話で、公務が業務に含むか(そして、どんな公務が業務に含まれないのか)という話を展開するのは、なんとなく地に足が着いてない空中戦をしているような心許ない感覚を抱きました、えらく抽象的な表現で恐縮ですが。
で、その観点からすると
威力業務妨害罪の保護法益は『社会的地位に基づき継続して行う事務』である業務で、立法趣旨はそれを守ることで『人格的自由の一部としての社会活動の自由を守る』ということにある。このレベルで話したほうが公務に業務性があることと権力的公務が業務から排除される話が腑に落ちるなーと思いました。
我ながら妙なとこで迷いましたが、まあそんな理解を示したつもりだったのです。
さて、ここのあてはめでは業務の継続性についてこだわった論述もしました。
それは、継続性を否定(よって「業務」性を否定)した裁判例【東京高裁昭和30年8月30日】も出ているようなので、そこを意識した論述でした。で、その視点へのアンサーとして【大判大正10年10月24日】の枠を使いました。
実際の問題で使うかは別として、一度この視点で書いたのはよかったと自分では思ってます。
そして、威力業務妨害罪(そして、公務執行妨害罪)の結果発生の要否、言い換えると抽象的危険犯かどうかという論点を悩みましたねー。
なんで抽象的危険犯なんや、と思いました。笑
山口先生の『刑法(第3版)』からはその明確な理由づけが見つけられず、自分なりに考えました。
視点としてはここで結果発生を求めることの不都合性です。
結果の発生しない業務妨害罪(と公務執行妨害罪)の実行行為が許容されるとした場合、仮に業務が表面上成立しても(公務が円滑に執行されても)、やっぱり業務(と公務)には大変な負荷がかかると思うのです。
例えばコンサート会場に爆弾仕掛けたとか電話するパターン。(これ、威力?偽計?意思は抑圧しそう。棚上げして先に進みます。笑)
で、爆弾あるかないかをがっつりチェックして爆弾がないことを確認して定時にコンサートを開催できたとします。
その表面上の業務(公務執行)の成立は、業務(公務)をした人が頑張って結果を発生させなかったに過ぎないのであって、めちゃくちゃ負荷はかかるわけです。だから、行為自体に可罰性は肯定していい気がする。
しかも、その業務の人が頑張ったかどうか、しかもそれが結実したかどうかという妨害行為者に帰属しない事由を根拠に、罰っせたり罰っせなかったりは、やっぱ妥当じゃない気がします。お前、関係ねーじゃん、と。
そんな理解を未遂犯がないことと掛け合わせて論じてみたのでした。
と、ここまで書いたところでふと気づいたのですが、爆弾あるかないかをがっつりチェックしてる時点で、現実的・具体的に妨害という法益侵害が発生したことになるんでは?と思いましたよね、うん。
だからね、未遂犯を作ればいいと俺は思うんだよね。笑
③罪数論
よく分からないです。笑
呉明植先生の『刑法総論』で10Pくらいでまとまってた気がしたので、しばらくはそれを片手に問題演習にあたろうと思います。
ちなみに今回のようにある一つの行為がA罪とB罪にあたりうる時の結論は論理的には4つあると思っていて。
⑴AとBにあたる
⑵Aだけにあたる(Bにはあたらない)
⑶Bだけにあたる(Aにはあたらない)
⑷AにもBにもあたらない
だと思う。
今回は⑵とか⑶とかのパターンだったと思うんですが、⑴の場合はどうなるんですかね。すげー基本的な知識くさいんですけど。笑
一回カチッとやればパズルみたいな感じで解けるんでしょうかね。頑張らなきゃ。
以上です。
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『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第13問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
政治家の賄賂授受記事に関する名誉毀損罪の成否が問題となる事例。
今回は記事を書いた記者本人ではなく、その記者に事実を摘示したまた別の記者の行為についてなので、伝播性の話が問題になると思いました。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
shitpapers-of-law.hatenablog.com
【答案作成状況】
・時間制限
無制限ですが測ると69分でした。論点・事情の多寡からすると、予備試験レベルはまだまだ先と言わざるを得ませんが、今焦っても仕方ないです。
今できることは知識の定着とその理解を答案に示す表現力を鍛えることだと思います。
とは言え、基本的な規範・論証について、答案を書きながらどう書こうか悩むって段階は早く脱しないといけません。
・基本書・判例集の参照
事例だけを読んで恒例の山口厚先生『刑法(第3版)』の該当部分を読みました。
個人的には肌に合う印象ですので、司法試験まで基本書はこれ1冊で乗り切りたいと思っているところ。(私から見ると)理由づけが時々欠けるので、そこを補いたいですね。
・解答例を事前に見たか
今回は、230条と230条の2の関係性をどう表現するか悩んだので、それらを第1、第2と振り分ける答案構成を参考にしました。
【私の答案】
第1、甲が同僚の新聞記者XにBの賄賂収受に関わる情報を伝えた行為は名誉毀損罪(230条1項)の構成要件に該当しないか。
1、「公然」性
⑴甲は上記情報をXにしか伝えていない。かかる場合も「公然」性は認められるか。
ア)「公然」とは、摘示された事実を不特定または多数の人が認識しうる状態をいう。もっとも、被害者に関わる事実を知らされた者が特定の少人数であった場合でも、その者を介して事実が不特定多数の者に伝播すると認められる場合は、かかる「公然」性は認められる。
イ)甲が上記情報を伝えた相手は確かにXという特定の一人ではあるものの、Xは政治汚職を記事として公表しうる政治部記者であり、事実、記事を掲載公表している。よって、その伝播性は認められるから「公然」性は認められる。
2、では、甲の行為は「事実を摘示し、人の名誉を毀損した」したといえるか。
ア)本罪の保護法益である「名誉」が外部的な社会的名誉と考えられるところ、「事実」とはかかる社会的評価を低下させる事実を言う。
イ)甲がXに示した事実は、国土交通大臣Bが大手建築会社幹部Cから多額の賄賂を受け取っているというものであり、政治家のBの社会的評価を著しく低下させるものであるから、「事実を摘示し、人の名誉を毀損した」といえる。
3、そして、本罪の故意も欠けるところはないので、甲の行為に構成要件該当性は認められる。
第2、しかし、甲の示した事実は「公務員」(230条の2の3項)である国土交通大臣Bに係る事実である。そこで同条が適用され、罪が阻却されないか。
⑴しかし、甲は示した情報は単に甲が真実と誤信していたのみで、実際にはBC間に賄賂収受の事実はなかった。
ア)同条がその適用要件として「真実であることの証明」を求めているところ、かかる錯誤があった場合に罪は阻却されるか問題となる。
イ)230条の2の趣旨は、名誉毀損罪の保護法益である人の名誉と憲法21条が保障する表現の自由の調和にある。よって、その法的性格は、名誉毀損罪の構成要件に該当する行為が憲法の保障する表現の自由に基づき正当といえる場合に、当該行為の違法性を阻却するものと考える。その点で、「真実であることの証明」がない誤った事実は表現の自由に資さないのであるから、その違法性は阻却され得ない。もっとも、行為者が違法性阻却事由があると誤信していた場合は、反対動機の形成ができないのであるから故意責任は問い得ない。そこで、確実な資料、根拠に照らし行為者が当該事実を真実と考えるに足る相当な理由がある場合は、当該行為の有責性が阻却され、名誉毀損罪は成立しないと考える。
ウ)甲は賄賂収受の証拠をつかめず、BとCの幹部が月に一回の食事をしているとの情報を得たのみであるから、確実な資料、根拠に照らして賄賂の授受と言う事実が真実だと考える相当な理由があったとは到底言えない。
エ)よって、甲の行為の故意責任は阻却されない。
第3、よって、甲の行為につき本罪は成立し、甲はその罪責を負う。
以上
【感想】
各論ぽい論点を書いたのは3通目ですけど、やっぱり勉強量が物を言う範囲なんだろな、と思いました。
保護法益に照らした要件の意義・定義をしっかり押さえる、そしてその理解を示すに必要な要素を答案にバシッと示す。その反復が大事な気がしています。
また、各論で問題になる解釈論の争いは総論に比べて具体的なので、イメージをつきやすいような印象です。 そのせいか、判例の結論もなるほどーとスッと入ってきてます、今のとこは。今までは「そもそもなんの話してる?」からだったので。笑
とは言いつつ、総論と各論はたぶん講学上の分類にすぎないと思うんで、あまり別ものと捉えすぎないで、総論で得た感覚をうまく各論の理解や答案作成に反映させていけたらなと思ってます。そうじゃないと覚えることが無限に増えそうな危惧が…。笑
さて。
①名誉毀損罪の「公然」性
伝播性の理論を形式的に使えば、公然性が認められないことなんてほぼほぼないのでは?とおもいました。
そんで『判例プラクティス』を少し調べたら、【東京高裁昭和58年4月27日】と言う否定例を見つけました。
たぶん伝播性の理論を実質的に判断してるってことだと思うんですが、個人的にはちょっと結論だけが納得しずらいんですね。ただパターンを形式的に使うことを判例(そして司法試験も)是とするイメージはないので頭の隅っこにこの高裁判決の実質的な判断過程を残しておこうとは思ってます。問題文次第ですが。
②真実性の証明(230条の2)
ちょっと長いとは思うし、自分では納得できるけど理解がナイーブすぎるかなあ?とか思いつつ。
どうなんですかね。
以上です。
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『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第12問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
殺意を隠して立ち入りの同意を得た立ち入り行為。
あとは怪我してる被害者を置き去りにした行為ですね。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
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【答案作成状況】
・時間制限
なしですが測りました。68分。タイピングが遅いのもありますが、それ差し引いてもやっぱり予備試験合格者てすごい。
ほとんど新幹線ですな。
・基本書・判例集の参照
事例だけ見て昨日、山口厚先生の『刑法(第3班)』の住居侵入罪、遺棄罪を読みました。
・解答例を事前に見たか
読んでないです。
【私の答案】
第1、甲の罪責
1、甲がAの宿泊している部屋に立ち入った行為に、住居不法侵入罪(130条)が成立しないか。
⑴「住居」は日常生活に使用する場所であり、この使用はホテル宿泊などの一時使用も含まれる。よって、甲はAの「住居」に立ち入った。
⑵では、甲の立ち入りは「侵入」といえるか。
ア)Aは甲をホテル従業員と誤信し、その立ち入りを同意している。
かかる錯誤ある立ち入りの同意が有効か問題となる。
イ)そもそも本罪の保護法益は、住居管理者が誰を立ち入らせ誰を立ち入らせないを決める自由である。よって、「侵入」とはかか同意の欠ける立ち入り行為をいう。もっとも、管理者を害する意図を秘して同意を得るなど、行為者の真意を知れば管理者が同意をしなかったであろう場合は、当該同意は無効である。
ウ)甲はホテルの従業員を装って、A宿泊の部屋に立ち入る同意を得ている。同意をした相手がホテル従業員でなく、なによりも甲のAへの殺害実行の意図を持っていることを知っていれば、Aはかかる同意をしていなかったであろうことが認められる。よって、Aが甲にした立ち入り同意は無効であり、甲の立ち入りは同意なくした行為であるから、「侵入」にあたる。
⑶よって、甲の行為には本罪が成立する。
2、殺人未遂罪(199条、203条)
甲が殺意をもってAの背中を包丁で突き刺した行為には殺人罪の実行行為にあたるが、Aは一命をとりとめた。よって未遂犯(43条本文)あたり、本罪が成立する。
3、罪数
甲の行為には、住居不法侵入罪(130条)、殺人未遂罪(199条、203条)が成立する。前者は後者を目的とした手段行為であるから、牽連犯(54条1項)となり、甲はその罪責を負う。
第2、乙の罪責
1、遺棄罪(217条)
⑴Aを見つけた乙は、血を流すAを救助することなく置き去りにして立ち去った。かかる置き去り行為に本罪が成立するか。
なお、乙はAの客室に宿泊していた宿泊客であり、保護責任(218条)を認めうる特別な事情はないから、単純遺棄罪で検討する。
⑵Aは背中を刺され血を流して意識を失っていたので、「疾病のために扶助を必要とする者」といえる。
⑶では、乙による置き去り行為は「遺棄」したといえるか。その意義が問題となる。
ア)置き去り行為は不作為であるため、その可罰性を認めるには作為義務を要すべきである。よって、作為義務の根拠となる保護責任が構成要件にない本罪の「遺棄」は、作為である移置行為だけを意味すると考える。
イ)乙がAを移動させたなどの事情はなく、置き去りにしたのみであるから「遺棄」したとは言えない。
2、よって、乙の行為には本罪は成立しない。
第3、丙の罪責
1、では、乙同様にAを置き去りにした丙の行為には、保護責任者遺棄罪(218条)が成立するか。
⑴Aが上記状況にあるので「病者」にあたる。
⑵では、丙はかかるAを「保護する責任のある者」といえるか。
ア)丙は乙と異なり、ホテル従業員である。ホテル従業員はホテル内におけるトラブルなどの処理をその業務の一環として通常期待されており、またかかる期待は過大とは言えない。
よって、丙には少なくとも条理上、Aを「保護する責任のある者」であったといえる。
⑶では丙はAを「遺棄」したといえるか。本罪の「遺棄」の意義が問題となる。
ア)上述の通り、単純遺棄罪が置き去り行為を実行行為としないのは作為義務を基礎づける保護責任がないためである。よって、保護責任を構成要件にする本罪においては作為義務を行為者に求めることに支障はない。よって、本罪の「遺棄」には不作為の置き去り行為を含むと考える。
イ)よって、丙のAを置き去りにした行為は「遺棄」にあたる。
2、よって、丙の行為には、保護責任者遺棄罪(218条)が成立し、丙はその罪責を負う。
以上
【感想】
全体として。私はWardで答案構成をして、そのまま答案作成するのですが、ナンバリングごとの話出しが統一されてなくて気持ち悪いですね。
工藤先生や予備試合格者の答案を見て気づいたけど、罪が不成立でも罪責の負う負わないをちゃんと明示してますね。見習わねば。
殺人未遂の引用条文を43条にしてしまったり、牽連犯は54条1項後段まで書かなきゃ、と条文引用のアラが見えますね。これは気をつけんと。
論点はどうやら落とさずに済んだようです。ちょっと嬉しい。
①「侵入」の意義
「住居権者の意思に反する立ち入り」とバシッと決めたいとこでした。同意のない立ち入りだと、間接的で微妙ではありますが推定的同意のある場合が弾かれそうな感じですもんね。
あと「住居で」起臥寝食て文言は必須なんですかね。
あまりに普段の言葉から離れてるし、間違いちゃいそうなんですよね。
あ、でも仕事場とかを排除するためには必要なんだろか。
②錯誤に基づく同意
ぎもう行為(タイプで出ず)という言葉は使いたいとこでした。
あとは「被害者の意思決定にあたり重要な影響をもつ錯誤」もちゃんと書きたいですね。
③「保護責任」の発生根拠
先行行為などを列挙してないんんですよね。まずいのかな。どうも考慮要素系は書くべきか方針が安定しません。
工藤先生、予備試験合格者の答案では、宿泊契約に少なくとも付随する安全配慮義務から保護責任を導いてました。なるほどですね。
山口厚先生の『刑法(第3班)』でも、割と広めに肯定するのが判例の傾向らしいので、案外大胆に肯定していいのかもです。
④「遺棄」の意義
この辺はとりあえずの理解を示した感じですね。
今にして思えば、遺棄罪の保護法益である「生命及び身体」などは絡めた論証をすべきだったように思います。
以上です。
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『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第11問の私の答案
【問題文をざっくり言えば】
総論の最後ですね。
経理部長に業務上横領を教唆した事例でした。
経理部長の乙、教唆した甲の両方を検討する問題です。
なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。
shitpapers-of-law.hatenablog.com
【答案作成状況】
・時間制限
なし
・基本書・判例集の参照
山口厚『刑法(第3版)』、『判例プラクティス 刑法Ⅰ』、ネットに転がっていた刑法各論の構成要件まとめリスト
・解答例の事前参照の有無
なし
【私の答案】
第1、乙の罪責
1、乙がA社の預金口座から200万円を引き出した行為は、業務上横領罪(253条)にあたるか。
⑴構成要件該当性
ア)乙は、A社の経理部長としてA社の預金口座を管理しており、この事務は社会生活上の地位に基づき反復継続している「業務上」のものである。
イ)そして、「自己の占有」は事実上の占有のみならず法律上の占有を含むところ、乙はA社より引き出し権限を付与されていたので、上記A社の200万円は「自己の占有する他人の物」といえる。
ウ)そして、A社と乙には雇用契約などにもとづく委託信託関係が認められる。
エ)そして乙には、本来の権利者たるA社を排除し上記200万円を得て、自己の息子のために費消という形で利用する意図があり、不法領得の意思がある。
オ)また、かかる不法領得の意思の発現として上記行為に及んでいるので、「横領した」といえる。
カ)よって、上記行為に本罪の構成要件該当性は認められる。
⑵よって、本罪は成立し、乙はその罪責を負う。
第2、甲の罪責
1、甲が乙に上記業務上横領(253条)行為をするように提案した行為は、同罪の共同正犯(60条)にあたるか。
⑴もっとも253条は「業務上」性を求める構成的「身分」犯(65条1項)である。甲は既にA社を懲戒免職されているので「業務上」性はない。
ア)かかる構成的身分がないものに構成的身分犯の共同正犯は成立しうるか。
イ)共同正犯の処罰根拠は法定された構成要件に該当する事実にいたる因果性の共同惹起にあり、かかる惹起は構成的身分がなくても可能である。よって、成立しうる。
⑵では甲の上記行為につき本罪の構成要件該当性を検討する。
ア)もっとも、甲は実際の引き出し行為をなしていない。そこで甲に共同正犯(60条1項)は成立するか。
イ)前記処罰根拠に照らし、60条の「共同」性を基礎づける意思連絡と「正犯」性を基礎づける正犯意思があれば共同正犯は成立する。
ウ)甲は乙に「会社の金を持ち出して」などと横領行為を勧める旨を甲に申し向け、それによって甲は横領しているので意思連絡はある。しかし、乙はあくまで自己を懲戒免職したA社に復讐する目的のみをもって、上記行為に及んでいる。すなわち自己のために本件で横領した200万円を得る目的を有しないので、正犯意思に欠ける。たしかに乙は甲より結果として5万円を受け取っているが、この授受は事前に約束したものでもなく200万円という金額に比べ軽微といえるから、この事実だけをもって正犯性を基礎づけることはできない。
エ)よって、甲の行為に共同正犯は成立しない。
⑶よって、甲の行為は本罪構成要件に該当しないので、本罪は成立しない。
2、そうだとしても、甲の上記行為は業務上横領罪(253条)の教唆犯(61条1項)にあたらないか。
⑴第2の1と同様、253条に定められる構成的身分を甲は欠き、同罪の教唆犯成立可能性が問題となるが、教唆犯の処罰根拠が犯罪実現への因果性の正犯を介した間接惹起にある点からすると、甲においてもかかる惹起は可能であるから、教唆犯の成立は可能である。
⑵では、その構成要件該当性を検討する。
甲の提案行為で乙は業務上横領罪の遂行意思を抱き、その意思に基づき実行した。そして、故意も欠けることはないので、構成要件該当性は認められる。
⑶よって、甲の行為には業務上横領罪(253条)の教唆犯(61条1項)が成立する。
⑷もっとも、甲は業務上横領罪の構成的身分を欠くので65条2項との均衡から、単純横領罪(252条1項)の限度で刑を科される。
以上
【感想】
全体の反省としては、答案構成をもっと工夫したかったという点、検討すべき犯罪(今回は盗品等無償譲受け罪ですか)を1つ落としてしまった点ですね。
で、結果、罪数処理にいかないという切ない結末です。
まあ後者は勉強していけば徐々に減って行くんでしょう。それでも落とすなら、その時に意識をつけれる具体的な対策をすりゃいいと思ってます。
でも、答案構成の工夫は今からでも出来るので。
で、今回でいうと、個人的には共同正犯の検討→狭義の共犯の検討という型を尊重したいと思ってます。
それは第9問でやらかしたこともあるし、罪が重い方から検討すべしというのもあるし、今回は正犯性の認定で使える事情があったからです。
でも、そうすると答案が膨らみがちなんですね。
それでも型を…と思って別個に書いたんですが。
予備試験の合格者の答案を見て、ちょっと感動しました。
すぐに教唆犯に突入するんですけど、その冒頭で正犯性がないので共同正犯ではなく教唆犯で検討する旨をを述べてるんですね。
えーと、つまり私の答案は
第1、甲の罪責
1、共同正犯の検討
⑴構成要件該当性
⑵不成立
2、教唆犯の検討
⑴構成要件該当性
⑵成立
て感じで、まあ素朴にしてるんですけど、その方の答案は
第1、甲の罪責
1、教唆犯の検討
⑴今回は正犯性がないから共同正犯は成立しないので教唆犯で検討する
⑵構成要件該当性
⑶成立
みたいな感じにしてて、おおー、なるほどーと思いました。
最低でも数行稼げると思うんですね。
上は自分で書いてても重複してる感があって嫌でしたもの。
この辺も吸収したいと思いました。
①業務上横領罪の構成要件
実際はここまで丁寧にあてはめないんでしょうが、各論の論文作成経験がないので練習であてはめました。こんな感じでいいのだろうか。
各論は基本、暗記ゲー、処理ゲート評判を聞きますが、なんとか各罪の特徴を理解して丸暗記を回避したいところ。
②共犯と身分
⑴構成的身分なきものへの(広義の)共犯成立可能性
身分のない者も、身分のある者の行為を利用することによつて、 強姦罪の保護法益を侵害することができるから、身分のない者が、身分のある者と 共謀して、その犯罪行為に加功すれば、同法六五条一項により、強姦罪の共同正犯 が成立すると解すべきである。
「保護法益を侵害すること」を「構成要件該当事実の実現の因果性」と書き換えているんですが。
で、この理屈は間接惹起する狭義の共犯でも妥当すると思うんで、ナイーブに広義の共犯全体で使おうと思ってます。
ただ、その書き換えより心配なのが理屈の流れが微妙に違う気もしないでもないとこ。
うーん。
まあ、ちょっと保留ですね。
⑵二重の身分犯
で、答案作成後に工藤先生と予備試験合格者の答案例を読んでみたんですが、「業務上横領が二重の身分犯である」という問題意識があるのですね。
これが私はよくわかってないです。
どの意味で二重なんだろう?
こちらも一旦ペンディングですね。
全体でいうと、身分犯がちょっとまだ漠然とした印象しか持ってないので手応えがないですねー
でも工藤先生の解説では各論と切り離せないところらしいので、各論にとりあえずは進みます。
しかし、その意味では総論の最後の問題が各論の導入になってるんですね。
今までも前の問題の理解が次の問題で生きてきたりと、この問題集、設問の配置までいいです。
前問あたりでチンプンカンプンだった共犯論が理解できてきたかも!って手応えが出てきたので、もっと共犯の問題にあたろうと思って、ロープラの刑法を注文しました。
とりあえず基礎論点を網羅したいのもある。
以上です。
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