予備試験を目指すヘボ受験生が書いたヘボい答案を晒すブログ

2019年12月から本格的に司法試験・予備試験の勉強を始めた私が書いたヘボ答案を晒すブログです。

『工藤北斗の実況論文講義 刑法(第2版)』第8問の私の答案 

【問題文をざっくり言えば】

 最高裁平成13年10月25日を素材にした問題でした。

 

 

なぜ問題文がざっくりなのかについてはこちら。

shitpapers-of-law.hatenablog.com

 

【私の答案】

第1、間接正犯の成否

1、甲女がAを利用してVより現金40万円を強取した行為は、強盗罪(236条1項)の間接正犯にあたらないか。間接正犯の成否、その成立要件は明文がないため問題となる。

2、正犯とは自己の犯罪を実現する第1次責任類型である。となれば、直接手を下さなくても、被利用者を介して因果的経過を実質的に支配し、自己の犯罪を実現することは可能だから、間接正犯は認めて良い。

よって、被利用者への行為支配性と自己の犯罪を実現する正犯意思が認められれば、間接正犯は成立する。

3、たしかに甲女は被利用者Aの母親である。しかし、Aが12歳であることからすると、母親の全て言う通りに行動するとは一般的に考え難い。事実Aは当初は計画実行を嫌がり、甲女が説得した後、受け入れたのである。さらに犯行現場では、覆面を被りナイフを見せてVから現金を強取すると言う甲女に指示された計画に単に従ったのではなく、Vをトイレに入るよう申し向けるなど、強取計画遂行が容易になるよう臨機応変に行動している。

かかる事情からすると、甲女のAに対する行為支配性は認められず、間接正犯は成立しない。

第2、共同正犯(60条)の成否

1、では、甲女につき、同罪の共同正犯が成立しないか。

本件では、甲女は実際に犯行現場におもむき、Aと犯行を分担したわけではない。かかる場合でも共同正犯は成立するか。

2、共同正犯の本質とは相互利用補充関係に基づく構成要件の実現にある。そして実際に実行行為を分担していなくても、相互利用補充関係の形成とそこに基づく構成要件の実現は可能である。よって、相互利用補充関係を基礎付ける意思連絡と、自己の犯罪を実現したといえる正犯意思とが認められれば、共同正犯は成立する。

3、甲女はAに本件計画を指示しており意思連絡は認められる。

次に正犯意思について検討する。まず、甲女は生活費に困っており、自己のために本件強盗計画を立てた。そして、甲女は12歳のAの母親であり、Aの行為を支配していたとは言えないまでも優越的な立場にあった。かかる優越的な立場のもとで、甲女は計画を指示し、実行を嫌がるAを説得しており、本件犯行を主導している。そして、犯行を容易・確実にする覆面用ビニール及びサバイバルナイフを自ら用意してAに渡すなど、計画実現に不可欠な役割を自主的に果たしている。そして何よりもAが奪った40万円を自己の生活費として費消しており、本件強盗の利益を自己のものしている。

これらの事情を考えると、甲女には本件強盗を自己の犯罪として実現したと十分に認められる正犯意思が認められる。

4、よって、甲女の行為は強盗罪の共同正犯の構成要件に該当する。

5、しかし、Aは12歳であり責任能力を有さない。(41条)

⑴そこで、共犯者の一部に責任阻却事由がある場合、他の共犯者の罪責に影響を及ぼすか。共犯における有責性の有無の判断方法が問題となる。

⑵責任の本質は非難可能性にあるから、その有無は個別に判断すべきである。

⑶よって、甲女の責任はAとは別個で判断され、その責任に欠けるところはないから、甲女の行為には同罪が成立、甲女はその罪責を負う。

以上

 

【感想】

①共犯全般

共犯がしんどい。笑

共犯理論があまりに理解できてないので、規範をもうぐちゃぐちゃと直しまして。

工藤先生と予備試験合格者の解答例を読んでも理解ができず。

『基本刑法』読んでも山口先生の青い『刑法』読んでも混乱が増すばかり。

判例読んでも処理はわかるが理屈は「んん?」となり。

ネットで調べても「んん?」となり。

完全にドツボにハマってました。抜けてないけど。

 

それでかなり前に人からもらった伊藤塾の呉先生の『刑法総論(第2版)』を引っ張り出して説明読んだら、やっと共犯論に入門できました。

とはいえ、もちろん十分理解できたわけではないから、息も絶え絶えで答案書いた次第です。

 

前に勉強してた頃はこんなにつまづかなかった気がするんですがなー

承継的共犯とかトントン処理してた気が。

たぶんわかってる気になってただけなんだと思う。

 

あ、で、呉先生の『刑法総論(第2版)』説明は超わかりやすい。

ただ、私が持ってる版は10年近く前のなんで色々古そうですが。

 

 

さて、共犯について色々、読んだんですけど、私の理解の今の状況は…

 

今読んでる(判例や基本書の)記述の問題意識がどの水準での話なのか(広義の共犯の話なのか、狭義の共犯の話なのか、とか)から、一見するとよくわからん。

いわば知識を入れる引き出しからガタガタの状態で、従属性やら共犯の本質やら処罰根拠やらの問題意識が押し寄せてきて、それぞれにいろんな学説があって(その辺読んでる時点で頭が散らかってくる、というか頭から煙が…)、その辺の基本的な理解を前提に片面的共同正犯とか承継的共犯とかイレギュラーな事案への問題意識が出てくる?

 

ぐらいのもんでやばいっす。笑

とりあえずは問題ごと、判例ごとの処理を理解していく対症療法に努めます。

が、最低限の理論的な背景を作らないと、早晩限界がきそうです。というか、そうしないと処理を論文に再現できない。笑

どうしようか。

なんか初学者でもわかるレベルで共犯論の基礎的な理論体系が整理されてる本とかないもんですかね。

 

と思ってググってたら、島田総一郎先生の『正犯・共犯論の基礎理論』という本に行き当たり、「お!」と思って商品ページに行ったら定価8800円でした…

絶対俺の思ってる基礎じゃないよね、これ笑

 

で、うーーーーん、となり。

それで思いついたのが、会社法と民訴の導入にすごく助かった『有斐閣ストゥディア』シリーズ。

ありましたよ、『有斐閣ストゥディア 刑法総論』!

すぐポチりましたよね。早かった、あのポチりは早かったよ。

だから早く届かないかな。

 

まあ、上に示したのは、そんなレベルで書いた答案てことなのです。

ね、ヘボいでしょ?

 

②間接正犯

これは実行行為の事実上の分類にすぎないんだぜ、っていう山口先生の『刑法(第3版)』の説明がスッと入ってきました。

だから、淡々と処理できたんですよね。

 

②共同正犯の成立要件

ここですよね、問題は。

あ、『工藤北斗の論文実況中継』の名誉のために述べますが、規範は私が書いたのとは全然違いますんでね。

たぶん俺、共犯の因果性が理解できてないんだな、と思います。

書けば書くほど混乱しそうなので、一旦スルーしとこう。笑

 

以上です。

 

 

 

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